2010年11月6日土曜日

買うならUSB24bit/192kHz対応じゃなきゃだめ!

PCオーディオでは、USB接続がメインの潮流となり、24bit/96kHz/192kHzの高音質楽曲配信が人気だ。しかし、海外勢がUSB転送方式、ジッター対策、電源対策など次々と最新技術を繰り出し先に進んでいるのに対し、わが国のメーカーは、様子見をしているのか、どうにも動きが鈍い。


「最先端の24bit/192kHz対応」と宣伝しているが実はSPDIFということがよくある。SPDIFは確かに24bit/192kHz対応だ。しかしSPDIFではだめなのだ。SPDIFで受けるには、PC側にSPDIFの出力装置つまり別途オーディオカードが必要となる。これでは、何の為のUSBオーディオか分らない。紛らわしい上に、USB出力と勘違いして買ってしまう消費者もいることであろう。メーカーの姿勢を疑ってしまう。

最先端の24bit/192kHz対応(SPDIF)などの宣伝文句を前面に出している製品の多くは、USB入力に、安価なICチップ(バーブラウンのPCM270xシリーズ(最大24bit/96kHz)など)を利用しているケースが多い。これは、自社にUSB転送技術がないので、安直にICチップに頼っているのだと思われる。

USBで24bit/192kHzの音楽信号を受けるには、まず、480Mbps(High Speed)に対応する必要があり、現時点ではWindowsの標準USBドライバーでは動作しない、そのため独自にドライバーを開発しなければならない。

また、アイソクロナス転送方式のアシンクモードに対応することで、大幅にジッターを低減できる為、ICチップに頼らず独自にFPGA(プログラム可能なICチップ)をプログラミングし、そのファームウエアを提供しているメーカーもある。

このように、最先端のUSB転送に対応するには、こうしたUSBの転送技術とソフトウエアの開発能力が必要になる。ラトックのようなPC周辺メーカーであれば技術の蓄積もあろうが、そうでない既存のオーディオメーカーには難易度は高いのかもしれない。従って、安易なICチップに頼り誤魔化しのような(SPDIFでの)24bit/192kHzを声高に宣伝してしまうのであろう。

満を持してUSB DACを発売したLUXMANの「DA-200」も、ESOTERICの「D-07」も、PHASE TECHの「HD-7A」も、USBは24bit/96kHzだ。

LUXMAN DA-200
ESOTERIC D-07

一方、海外メーカーは積極的だ。欧州はもちろん中国メーカーですら、とっくにFPGAを使って24bit/192kHzに対応している。

そんな中、イタリアのNorthstar Designの最新DAC「Essensio」は素晴らしい。USBで32bit/192kHz対応だ。上位機種「USB dac32」の技術をほぼそのまま生かし、小型化と低価格化を実現している。\157,500は手ごろだ。デザインも高級感あふれる。
Northstar Design Essensio
あのAyreはどうするのかと思っていたら、「QB-9」の192バージョンを投入し、FPGAで24bit/192kHZに対応することとなった。動きが早い。さすが米国。
Ayre QB-9(192バージョン)
これから24bit/192kHzの音源がどんどん出てくると思う。そうした時、24bit/96kHzしか対応していなければ、どんなに高級なDACやDDCでも、こうした高音質楽曲を聴くことはできない。どんなにジッターが少なく、どんなに高級な音がしても、音楽が聴けなければただの箱だろう。


そうした中、ようやくラトックが、12月上旬に24bit/192kHzのUSB DAC/DDC「RAL24192UT1」を発売すると発表した。見た目は前モデルで24bit/96kHzの「RAL2496UT1」とほとんど同じ。

RAL24192UT1
RAL24192UT1(裏)


数万円程度の機器なら買い替えれば済むが、数十万円もする機器は簡単に買い替えなどできない。だから、できる限り無駄な買い物をしないように、なるべく24bit/192kHz対応のDACまたはDDCを買うべきだ。

ただし、24bit/192kHz対応のDDCまたはオーディオインターフェースを購入すれば、DACにUSB入力は必要なくなるので、192kHz対応のDACである必要はなく選択肢は広がる。

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