2017年12月27日水曜日

現れた本当の音像

アンプとスピーカーの設定を繰り返しているが、ボーカルの音像の中心が上下に少し捻じれているように感られ、それが、どうやっても直らない。先日、ベルウッドさんが来られた時、フルレンジスピーカーとウーハーの中心が垂直方向で少しずれているとの指摘をいただいた。そこで、右のフルレンジスピーカーをウーハーに対し右に3mm移動したところ、捻じれが解消され、上下すっきりとしたボーカルに変わった。

これには驚いた。本来の音像を出現させるにはミリ単位の調整が必要だということを思い知らされた。ベルウッドさんが帰った後、アンプとスピーカーを一から調整し直すことにした。


まずは、スピーカーの置き場所を左右の壁からミリ単位で合わせ、完全に左右対称とした。

次に、ツイーター、フルレンジ、ウーハーの垂直方向の中心線が完全に1線上になるよう調整した。(ここまでは簡単だ。)

最後に、左右のパワーアンプのボリュームをコンマ.ミリ単位で調整し、楽曲の中心が完全にスピーカーの中心に来るよう微調整を行った。ツイータ用パワーアンプ(左右モノ2台)、フルレンジ用パワーアンプ(左右モノ2台)、ウーハー用パワーアンプ(左右モノ2台)の3ペアとも同様に調整した。

しかし、上中下の中心を垂直に合わせるのはな簡単ではなく、何度やっても上中下の中心が微妙にずれてうまくいかない。何枚ものチェックCDやボーカルの楽曲を聴きながら、何度も何度も繰り返し調整を続けていると、突然、それは起こった。

まるでホログラムのように美しい音像が突然目の前に浮かび上がったのだ。左右上下前後に音像が定位する聴いたこともないような音像だ。クラシックにおいてその効果はより顕著に表れる。各楽器の音色が正しく(恐らく)上下左右前後に定位している。前後感が出ることで本当にそこで演奏しているような臨場感がでてくる。焦点があったことで、全ての音が本来の定位置に付き、音の重複や薄れが解消され、本当の音が顔を出してくる。とにかく聴いていて気持ちがいい。クラシックは今まであまり好きではなかったが、どんどん聴きたくなるほどだ。

上下左右のアンプとスピーカーの焦点が完全に合った時に、忽然と本来の音場が現れたのだ。

メーカー製のアンプやスピーカ―は、完全に左右上下のバランスが合わせてあるので、こんな苦労などまったく関係ないはずだ。自作アンプによるマルチならでは苦労、というかこの調整の先にある本来の音像を発見することこそがオーディオの楽しみなのではないか。

ミリ単位、コンマミリ単位の調整の向こうにその音像はあった。それを今まで知らずにいた自分が情けないが、これを発見できたことは、オーディオ人生最大の発見、喜びだ。

今年は、音像の調整にかなり苦労したが、最後にこの発見があったことに感謝だ。終わりよければ全て良し。